文化人類学を理解するためのおすすめ本8選(2026年)

世界には私たちの常識では測れない多様な価値観や生き方が存在しています。 文化人類学は、そうした人間の営みを記録し、比較し、理解しようとする学問です。 その過程で浮かび上がるのは、 「人間とは何か」「社会とは何か」という根源的な問いです。

ここでは文化人類学に関するおすすめの書籍を、 ランキング形式で1位から順番に紹介します。

自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門(未来のわたしにタネをまこう7)

自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門(未来のわたしにタネをまこう7)
箕曲在弘(著)
発売日: 2024-12-21

私たちが無意識に信じている「あたりまえ」を一つひとつ問い直しながら、 文化人類学の視点をやさしく学べる入門書です。

著者が東洋大学で行ってきた講義をもとに、 「家族に血のつながりは不可欠なのか」「日本人は本当に無宗教なのか」 といった身近な疑問から議論が始まります。

贈り物のお返しや就職活動のつらさ、汚れや禁忌の感覚など、 日常的な経験を切り口に、 文化が人の行動や価値観をどのように形づくっているのかを解説。 古典的な文化人類学の考え方も紹介されており、 初学者にも理解しやすい一方で、多様性や組織、社会を考えるヒントにもなる一冊です。

(読者の口コミより)

・知識あるいは情報として膝を打つことは多々あったけど、その先にある常識や価値観、不文律が固定的でも普遍的でもないことに気付かされたことが本書を通読した最大の収穫です。

目次

第0話 本編に入る前に そもそも「文化」ってなんだろう?
第1話 集団と親族 なぜ私たちは「よそ者」に冷たいのだろうか?
第2話 家族と血 家族にとって血のつながりは大切か?
第3話 贈り物と負い目 なぜ贈り物をもらったら、お返しをするのか?
第4話 汚穢と禁忌 なぜ私たちは唾液を“汚い!”と感じるのか?
第5話 儀礼と境界 なぜ「就活」はあんなにつらいのか?
第6話 宗教と宗教心 日本人は本当に無宗教といえるのか?
第7話 呪術と科学 なぜ不運なことが起きたとき「“努力”が足りなかった」と思うのか?
第8話 民族とエスニシティ 「日本人」とは誰を指すのか?
第9話 人間と文化 「あたりまえを切り崩す」とはどういうことか?

文化人類学の思考法

文化人類学の思考法
松村 圭一郎(編集), 中川 理(編集), 石井 美保(編集)
発売日: 2019-04-16

文化人類学を「知識」として学ぶだけでなく、 世界を考え直すための「思考の道具」として身につけることを目指した書籍です。

自然や環境の捉え方、呪術と科学の関係、贈り物や貨幣が生み出す価値と秩序、 国家や戦争の成り立ちなど、 多岐にわたるテーマを文化人類学の視点から掘り下げます。

「あたりまえ」を疑うための具体的な視点や枠組みが示されており、 社会の変化に戸惑う読者にとって頼れる思考のガイドとなります。 学生はもちろん、ビジネスや創作に携わる人にも示唆に富んだ内容です。

(読者の口コミより)

・とても、楽しく読むことができる。 わたしたちが気づかずにとらわれている常識を、一つひとつ暴き立てるからである。 そのため、わたしたちを当たり前から自由にしてくれる。

目次

序論 世界を考える道具をつくろう
第1部 世界のとらえ方
 自然と知識―環境をどうとらえるか?
 技術と環境―人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか
 呪術と科学―私たちは世界といかにかかわっているのか
 現実と異世界―「かもしれない」領域のフィールドワーク

第2部 価値と秩序が生まれるとき
 モノと芸術―人はなぜ美しさを感じるのか?
 贈り物と負債―経済・政治・宗教の交わるところ
 貨幣と信用―交換のしくみをつくりだす
 国家とグローバリゼーション―国家のない社会を創造する
 戦争と平和―人はなぜ戦うのか

第3部 あらたな共同性へ
 子どもと大人―私たちの来し方、行く先を見つめなおす
 親族と名前―関係している状態をつくるもの
 ケアと共同性―個人主義を超えて
 市民社会と政治―牛もカラスもいる世界で

文化人類学キーワード 改訂版 (有斐閣双書 KEYWORD SERIES)

文化人類学キーワード 改訂版 (有斐閣双書 KEYWORD SERIES)
山下 晋司(著), 山下 晋司(編集), 船曳 建夫(編集)
発売日: 2008-03-28

文化人類学を学ぶうえで欠かせない基本概念を体系的に整理できるキーワード集です。

フィールドワークや民族誌といった研究方法から、 人種・民族、文化相対主義、家族や出自集団、植民地主義や世界システムまで、 重要な100語を厳選しています。

各項目は見開き2ページで完結する構成となっており、 専門用語に不慣れな読者でも要点を押さえながら読み進められます。 社会状況や学問の進展を踏まえて内容が更新され、 難民や観光、国際結婚、性の多様性など、現代的なテーマも取り込まれています。 手元に置いて繰り返し参照できる実用的な一冊です。

(読者の口コミより)

・文化人類学の概論的知識を一通り押さえるならまずはこれ。一通り読めば、古典的な文化人類学の知識をさらえる。

目次

1章 文化人類学の技法とディスクール
 フィールドワーク
 民族誌 ほか

2章 人間の多様性
 人間の概念
 人種と民族 ほか

3章 文化のダイナミズム
 文化の概念
 文化相対主義 ほか

4章 社会のコンプレクシティ
 家族
 出自集団 ほか

5章 現代のエスノグラフィー
 世界システム
 植民地主義 ほか

東南アジアで学ぶ文化人類学

東南アジアで学ぶ文化人類学
箕曲在弘(編集), 二文字屋脩(編集), 吉田ゆか子(編集)
発売日: 2024-03-21

東南アジアをフィールドに文化人類学の基本的な視点と問いを学べる書籍です。

インドネシアやミャンマー、ラオスなど多様な社会で調査を行ってきた研究者が、 それぞれの専門テーマを具体的な事例とともに解説しています。 家族や親族、ジェンダー、民族、国家、宗教、医療、紛争、 移民や難民といった幅広いテーマを通して、 「血縁は家族に不可欠か」「信じることは宗教の本質か」といった身近で根源的な問いを投げかけます。

複雑な文化が交差する東南アジア社会を知ることで、 私たち自身の「あたりまえ」も相対化されていきます。

目次

序章 東南アジアを通してみる文化人類学の世界(箕曲在弘)
第1章 親族と家族―家族にとって血のつながりは欠かせないものか(西川慧)
第2章 ジェンダーとセクシュアリティ―人間の性はどのように多様で複雑か(大村優介)
第3章 民族とエスニシティ―「民族」の境界はどう決まるのか(中村昇平)
第4章 歴史と記憶―他者の多様な過去にどう関わるのか(山口裕子)
第5章 国家―国家にどう向き合う?(二文字屋脩)
第6章 経済とモラル―「豊かさ」は数値で測るだけで十分なのか(下條尚志)
第7章 法と慣習―法は私たちを縛り、罰するためのものか(高野さやか)
第8章 呪術と宗教―「信じること」は宗教に不可欠なのか(津村文彦)
第9章 死と儀礼―どのように死と向き合うのか(寺内大左)
第10章 芸能―社会にはなぜ歌や踊りや芝居が必要なのか(吉田ゆか子)
第11章 医療―人は心身の問題にいかに向き合っているのか(岩佐光広)
第12章 紛争―戦争と平和は明確に分けられるのか(岡野英之)
第13章 難民―難民が創るつながりとは何か(久保忠行)
第14章 移民―移民は特別な人たちか(細田尚美)
第15章 観光―文化が観光によって創られる?(岩原紘伊)
第16章 開発と貧困―人類学は貧困削減に貢献できるのか(箕曲在弘)

日本で学ぶ文化人類学

日本で学ぶ文化人類学
宮岡 真央子(編集), 渋谷 努(編集), 中村 八重(編集), 兼城 糸絵(編集)
発売日: 2021-12-03

日本社会そのものをフィールドとして文化人類学を学ぶ入門書です。 私たちが日常の中で「当たり前」だと思っている価値観や慣習を問い直します。

「日本人」とは誰なのか、家族や老い、死はどのように捉えられてきたのか、 祈りや性、同調圧力はどのように生きられているのかなど、 身近で切実なテーマが語られます。

観光や移民、外国人との共生、災害と自然、食文化まで扱い、 日本社会の多様な姿を浮かび上がらせます。 海外研究に限られがちな文化人類学のイメージを覆し、 自分の足元から世界を考える視点を与えてくれる一冊です。

目次

文化と出会う―自分と世界を豊かにするために
「日本人」を問い直す―多様性に寛容な社会にむけて
「家」にとらわれる―フツウの家族を考え直す
生を終える―老いと死のこれまでとこれから
信じる―日本社会における祈り
性を生きる―私らしさとは
人とつながる―日本的同調圧力と自由な「空気」
記憶を共有する―「識字99%」のニッポンにおける識字運動
文化を売買する―観光の現場で創造・消費される「らしさ」
移動する―私たちもまた移民である
ともに暮らす―「外国人」を通して日本社会を考える
自然とつきあう―自然災害をめぐる科学知と生活知
食から学ぶ――食べることはきっと最も身近なフィールドだ

ようこそ文化人類学へ: 異文化をフィールドワークする君たちへ

ようこそ文化人類学へ: 異文化をフィールドワークする君たちへ
川口幸大(著)
発売日: 2017-04-12

文化人類学を初めて学ぶ人に向けて、 身近なテーマから異文化を考える力を養う入門書です。 家族や結婚、性、宗教、儀礼、観光といった私たちの日常に近い話題を取り上げ、 「当たり前」と思い込んでいる価値観を揺さぶります。

世界各地の具体的な事例を、古典研究から最新の成果まで交えて解説し、 文化の多様性と人間社会の奥深さを伝えます。 文化人類学の重要な方法であるフィールドワークについても紹介。 各章のキーワード整理やブックガイドも充実しています。

(読者の口コミより)

・「高校生にもわかる」と銘打ってあるように、めちゃわかりやすい。

・すっごくよかった。文化人類学の基本的な考え方を項目別にざっくり復習しつつ、具体的な身近な例を得ることができた。

目次

第1章 文化とは、文化人類学とは
第2章 家族―あなたの大切な人は誰ですか
第3章 結婚―なぜするのか、しないのか
第4章 性―バリエーションは無限大
第5章 宗教―あなたの信じるものは何ですか
第6章 儀礼―どのように境界が設けられるのか
第7章 贈与と交換―貰ったのと同じだけ施しなさい、そうすれば万事うまくいく
第8章 観光―「観光客向け」は嫌ですか
第9章 フィールドワーク―文化人類学の方法論
第10章 文化人類学を学んで―いったい何の役に立つ?

文化人類学のエッセンス: 世界をみる/変える (有斐閣アルマ)

文化人類学のエッセンス: 世界をみる/変える (有斐閣アルマ)
春日 直樹(編集), 竹沢 尚一郎(編集)
発売日: 2021-01-16

文化人類学の考え方を通して、 私たちの身近な経験や社会の仕組みを新たな視点で捉え直す書籍です。

貧困や自然災害、感染症、性愛、食、政治、SNSなど現代的なテーマを取り上げ、 人類学がそれらをどのように理解してきたのかを解説します。 各章は異なる研究者が執筆し、フィールドでの体験や事例を交えながら、 文化や価値観の多様性を示します。

教養として文化人類学に触れたい学生や、 世界の見方を広げたい読者にとって、 思考のヒントが詰まった一冊です。

(読者の口コミより)

・文化人類学がどういうものなのかを知れる本だった。他の文化のフィールドワークの切り口は、著者の価値観によるものも多いのだなと感じる。

目次

第1部 傷つきやすいものとしての人間
 第1章 貧困(森田良成)
 第2章 自然災害(金谷美和)
 第3章 うつ(北中淳子)
 第4章 感染症(浜田明範)
 第5章 性愛(深海菊絵)
第2部 文化批判としての人類学
 第6章 アート(兼松芽永)
 第7章 人間と動物(奥野克巳)
 第8章 食と農(竹沢尚一郎)
 第9章 自分(春日直樹)
 第10章 政治(松田素二)
第3部 人類学が構想する未来
 第11章 自由(中川 理)
 第12章 分配と価値(西 真如)
 第13章 SNS(久保明教)
 第14章 エスノグラフィ(小川さやか) 

文化人類学入門 (中公新書 560)

文化人類学入門 (中公新書 560)
祖父江 孝男(著)
発売日: 1990-02-01

文化人類学という学問の全体像を体系的に学べる定番の書籍です。 社会や経済、宗教、言語、家族といった多様なテーマを通して、 人間の文化がどのように形づくられてきたのかを解説します。

フィールドワークを重視する研究姿勢や、進化論・伝播論といった理論の流れ、 狩猟採集から農耕への変化、婚姻制度や宗教儀礼の多様性など、 具体例を交えて理解を深めます。 文化の違いを比較し、 人間社会を広い視野で考えたい読者にとって基礎固めにおすすめの一冊です。

(読者の口コミより)

・言語・婚姻・家族・親族・民族性等の観点から文化人類学(社会人類学)を平易な文章で解説している。入門書として広い知識と考え方に触れることができ興味深い。

・古いけど初心者におすすめ

目次

第一章 文化人類学の世界
第二章 人間は文化をもつ
第三章 文化の深化・文化の伝播
第四章 経済の技術・生活の技術
第五章 言語‐その構造分析
第六章 婚姻・家族・親族
第七章 超自然の世界‐宗教と儀礼
第八章 文化・心理・民族性
第九章 文化の変化がもたらすもの
第十章 残された諸問題

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