多文化共生を理解するためのおすすめ本7選(2026年)

国籍も文化も価値観も異なる人々が、 同じ社会で支え合いながら生きていく――そんな未来を描くうえで、 多文化共生は欠かせない視点です。

しかし、その理想に向かう道のりは決して平坦ではありません。 偏見やすれ違い、制度の壁など、複雑に絡み合う課題の中で、 私たちは何を手がかりに共に歩めば良いのでしょうか。

ここでは多文化共生に関するおすすめの書籍を、 ランキング形式で1位から順番に紹介します。

中学生が多文化共生について本気で考えてみた

中学生が多文化共生について本気で考えてみた
山﨑 寛己(著), 釜田 聡(監修)
発売日: 2025-04-18

新潟の公立中学校で生徒たちが取り組んだ、 多文化共生学習の一年間の歩みを記録した書籍です。

授業中に生徒から出た一言に違和感を覚えた著者は、 その正体が日常に潜む「マイクロアグレッション」であると気づき、 生徒有志とともに学習会を立ち上げます。

「差別はしないだけではなくならない」 「誰もが差別する側にもされる側にもなりうる」といった言葉は、 子どもたちの価値観を大きく揺さぶります。 やがて生徒たちは、「みんなに平等に接する」という一見正しい言葉に潜む違和感と向き合い、 自分たちなりの結論を導き出していきます。 多文化共生を“自分ごと”として考えるための、等身大の実践記録です。

(読者の口コミより)

・生徒が主体的に学ぶということ、その学びを支える教師の後押しに、心が熱くなりました。 自分の中にあるマイクロアグレッションの存在や、知らなかったことが多いことに気づかされました。

目次

1 人権学習の種をまく
 モヤモヤを感じる中で
 大阪府松原市での教員生活 ほか

2 「新潟にヘイトスピーチはない」?
 中学生、ヘイトスピーチを知る
 出会いから学ぶ 未知に触れる

3 当事者は隣にいた
 中学生、新潟朝鮮初中級学校の先生と出会う
 中学生、サコさんと出会う ほか

4 「平等」だけでは足りない―生徒が導いた答え
 平等に接するってなんか違うんじゃない?
 全員を特別扱いすること ほか

多文化共生と民族的マイノリティ――近現代日本をめぐる「人の移動」の歴史から

多文化共生と民族的マイノリティ――近現代日本をめぐる「人の移動」の歴史から
長村裕佳子(編集), 坪谷美欧子(編集), 蘭信三(編集), 長村裕佳子(著), 坪谷美欧子(著),...
発売日: 2025-06-09

日本に暮らす多様な移住者の歴史と経験を多角的に描き、 多文化共生を考えるための視点を提供する書籍です。

取り上げられるのは、在日コリアン女性の教育達成の歩み、 中華民国(台湾)系華僑のコミュニティ文化、 アメラジアンやフィリピン系日系人の語られにくい背景、 中国残留孤児の高齢化がもたらす課題など、多岐にわたります。

EPA制度で来日したインドネシア人看護師や、 在日ブラジル人コミュニティの変遷など、近年の「新移民」をめぐる状況も分析。 これからの多文化共生のあり方を考える手がかりを与えてくれる一冊です。

目次

1部 戦後日本をめぐる民族的マイノリティという経験
2部 「帰還移民」の経験、日本社会の経験
3部 グローバル化と新移民、そして多文化共生

多文化化するデンマークの社会統合:生涯学習が果たす役割とその可能性

多文化化するデンマークの社会統合:生涯学習が果たす役割とその可能性
坂口 緑(著)
発売日: 2024-11-11

多文化化が進むデンマークで、 移民や難民が福祉国家にどのように包摂されるのかを生涯学習の視点から考察した書籍です。

もともと同質性が高く受け入れに慎重とされてきたデンマークですが、 EU統合やグローバル化によって多文化社会へ移行する中、 デンマークでは市民社会と協働した生涯学習政策が重要な役割を担っています。

フォルケホイスコーレに代表されるノンフォーマル教育や、 難民を支援するNGO「トランポリンハウス」の事例などを通じ、 生涯学習が新しい住民の“入口”として機能する可能性と課題を示しています。

目次

序章 本書の目的
第1部 多文化化する社会におけるコミュニタリアニズム思想の応用可能性
 コミュニタリアニズムとは何か
 学習の「個人化」
 社会統合の規範理論

第2部 欧州連合とデンマークにおける生涯学習政策の実際
 欧州連合の生涯学習政策―雇用力とアクティブ・シティズンシップの両立
 現代デンマークの生涯学習政策
 スキルとモラルの二重性―教育のヨーロッパ化は何をもたらすのか
 現代デンマークの社会統合政策

第3部 現代デンマーク社会におけるボランタリーセクターの機能
 デンマーク・ボランタリーセクターの現在―「共同責任」と「生活の質」
 デンマーク・ボランタリーセクターの個人―フレデリクスベア市におけるボランティア活動の実際
 現代デンマーク社会におけるボランタリーセクターの機能と役割

第4部 現代デンマーク社会におけるノンフォーマル教育機関の役割
 デンマークのノンフォーマル教育機関―ダウホイスコーレの事例
 デンマークのNGOによる難民に対する成人学習の支援―トランポリンハウスの事例
 社会統合における主流化アプローチ

終章 考察と課題

今日も異文化の壁と闘ってます: 違いを乗り越えて仲間になる! 外国人材マネジメントのツボとコツ (単行本)

今日も異文化の壁と闘ってます: 違いを乗り越えて仲間になる! 外国人材マネジメントのツボとコツ (単行本)
千葉 祐大(著), Yuko(イラスト)
発売日: 2024-11-07

外国人材と働く中で生まれる「異文化の壁」をどう乗り越えるかを、 4コマまんがと具体的な事例で解説した書籍です。

職場でよく起きる「できます」をそのまま信じてしまう誤解や、 日本人ならではの“行間”を読ませるコミュニケーションが通じない場面など、 つまずきやすいポイントを取り上げます。

説得にはメリットを明確に示す「メリット強調法」が有効であること、 自己主張はわがままではなく文化の違いとして理解することなど、 すぐに使えるコツが満載。 多様なメンバーと働くすべての人にとって、 異文化対応力を高める実践的なガイドとなる一冊です。

(読者の口コミより)

・外国人の行動原理がすこしずつわかるようになりました。 原因や理由が理解できれば、余計なストレスを感じることもなくなりますし、どのように対処すればいいのかも適切に考えられます。

目次

第1章 いま職場は「異文化」であふれている
第2章 国・地域別 特性を攻略すれば「異文化」も怖くない!
第3章 考え方編 「異文化の壁」はこうして乗り越える
第4章 伝え方編 「異文化の壁」はこうして乗り越える
第5章 接し方編 「異文化の壁」はこうして乗り越える
第6章 職場以外にも広がる「異文化の壁」

多文化共生をどう捉えるか (下野新聞新書)

多文化共生をどう捉えるか (下野新聞新書)
宇都宮大学国際学部(編集)
発売日: 2018-10-29

宇都宮大学国際学部の教員が、 それぞれの専門領域から「多文化共生」を多角的に読み解く書籍です。

学科統合を機に掲げられた「多文化共生に関する体系的な学び」という教育目標のもと、 言語・文学、心理、教育、政治、経済、環境など幅広い視点から、 共生社会を築くために必要な問いを投げかけます。

日本のモノリンガル慣習への問題提起や、 芸術による無意識の偏りの可視化など学際的な議論が盛り込まれています。 世界各地の事例と比較しながら、 日本の多文化共生を考えるヒントも提示される一冊です。

目次

1 多文化共生を学際的に考える
 言語・文学
 心理・教育・情報・文化
 経済・環境・開発・政治

2 多文化共生を国際的に考える
 アメリカ~ヨーロッパ
 アフリカ~中東~アジア~環太平洋
 日本

多文化社会で多様性を考えるワークブック

多文化社会で多様性を考えるワークブック
有田 佳代子(著), 志賀 玲子(著), 渋谷 実希(著), 新井 久容(著), 新城 直樹(著),...
発売日: 2018-12-19

多文化社会で必要となる柔軟な思考力と共感力を、 ワーク形式で身につけられる書籍です。

国籍・宗教・ジェンダー・言語など幅広いテーマを扱い、 「郷に入っては郷に従え?」といった異文化スキルの問いかけから、 マイクロアグレッション、ナショナリズムまで、 日常で直面しやすい課題を具体的なシナリオと対話を通して学びます。

「やさしい日本語」や手話、複言語主義など言語多様性にも焦点をあて、 相手に伝わるコミュニケーションの方法を考える内容も解説。 日本語教育や異文化コミュニケーションの現場はもちろん、 他者理解を深めたい人にも役立つ一冊です。

目次

第1部 異なりを考える
 郷に入っては郷に従え?―異文化間ソーシャルスキル
 心が広いってどういうこと?―寛容性 ほか

第2部 差別とその感情を考える
 悪気はなかったんだけど…―マイクロ・アグレッション
 今のあなたはどういう立場?―マイノリティとマジョリティ ほか

第3部 言語間の平等を考える
 「ことばができる」ってどんなこと?―国境を越える子どもの言語習得
 わかりやすく伝えよう!―やさしい日本語 ほか

第4部 ミニワーク―ちょっとした気づきのために
 アイスブレイク―氷を溶かそう!
 ダイバーシティに気づこう! ほか

多文化共生の実験室 大阪から考える

多文化共生の実験室 大阪から考える
髙谷 幸(著)
発売日: 2022-03-28

大阪を「多文化共生の実験室」として捉え、 民族的マイノリティを支える教育・制度・運動の歴史と実践を掘り起こした書籍です。

大阪は在日コリアンをはじめ多様な人びとが暮らしてきた地域であり、 民族学級や母語・母文化を重視した公教育、 多文化家族を支える地域ネットワークなど、全国に先駆けた実践が積み重ねられてきました。

こうした営みを「反差別」「人権」といった理念に基づく共生の試みとして再評価すると同時に、 近年の行政政策に見られるマイノリティへの排除や矛盾にも目を向けます。 大阪の取り組みを通じ、多文化共生をどう実現すべきかを問い直す内容です。

(読者の口コミより)

・実験室大阪から学ぶことは多い。
おそらく日本中で大阪が100年間かかって体験した、「外国にルーツを持つ人々をめぐる問題」を10年程度で経験することになる。

目次

第1部 教育の実践
 大阪の多文化共生教育―公立学校の外国人教育研究組織に着目して
 共に生きる「仲間」を目指して―大阪府豊中市の「進路保障」を事例に
 紐帯はどのようにして育まれたか―大阪市中央区での多文化家族支援の実践から
 教育分野での人権運動・政策の変化―多文化共生をめぐる歴史的・社会的背景

第2部 実践の担い手
 多文化共生を牽引する在日コリアンの教育実践運動の役割―いま生かされつつある「民族学級」というアイデア
 無条件の生の肯定
 アクティビストの不正義感覚と運動ネットワーク

第3部 理念/規範的考察
 公正を重視する大阪の公教育理念
 承認の観点からみた大阪の民族学級
 民主的実践としてのシティズンシップと多文化共生
 反ヘイトと多文化共生―大阪市と川崎市の比較を通じて


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