サルトルを理解するためのおすすめ本8選(2026年)
なぜ私たちは選択に迷い、不安を抱えながら生きるのでしょうか。 その問いに真正面から向き合ったのが20世紀を代表する哲学者サルトルです。 彼の思想は哲学書の中だけにとどまらず、 文学や政治、現代社会の価値観にも大きな影響を与えてきました。
ここではサルトルに関するおすすめの書籍を、 ランキング形式で1位から順番に紹介します。
NHK「100分de名著」ブックス サルトル 実存主義とは何か: 希望と自由の哲学
サルトルの代表的な思想である実存主義を、 初めて学ぶ人にも理解しやすく解説した書籍です。
中心となるのは、第二次世界大戦直後に行われた有名な講演で語られた 「実存は本質に先立つ」や「人間は自由の刑に処せられている」といった考え方です。 人はあらかじめ決められた生き方を持たず、 自らの選択によって人生を形づくる存在であることを、 歴史的背景とともに読み解いていきます。
『嘔吐』をはじめとする文学作品や、 ボーヴォワールとの交流、社会や政治への関わりにも触れながら、 サルトルの思想がどのように形成されたのかを紹介しています。
(読者の口コミより)・サルトルの実存主義の考え方に触れたおかげで、「自分の価値観に沿って生きると言うこと」の本当の意味がわかったように思いました。
目次
第1章 実存は本質に先立つ 一九四五年―解放と不安のなかで サン・ジェルマン・デ・プレの「実存主義者」たち ほか 第2章 人間は自由の刑に処せられている 自由の刑/負けるが勝ち/偶然性からの脱出 「全体化」の欲望 ほか 第3章 地獄とは他人のことだ アンガジュマンとは何か 「さらば、下種どもよ」 ほか 第4章 希望の中で生きよ 「異議申し立て」へ―政治的アンガジュマンの歩み 様々なヒューマニズムへ ほか ブックス特別章 希望はどこに―二十一世紀の世界とサルトル 監理者としての共同体 橋をわがものにする思想 ほか
嘔吐 新訳
港町ブーヴィルで暮らす主人公ロカンタンの日記という形式で描かれた小説です。
ある日、彼は身の回りの物や自分自身の存在に対して強烈な違和感を覚え、 「吐き気」に襲われる。 その感覚をきっかけに、なぜ自分はここに存在しているのか、 人間の生に意味はあるのかといった根源的な問いに向き合っていきます。
物語は派手な展開よりも主人公の内面描写に重点が置かれており、 孤独の中で深まる思索が描かれています。 実存主義文学の代表作として知られていますが、 小説としても高い完成度を誇り、哲学的なテーマを物語を通じて体感できる一冊です。
(読者の口コミより)・難解な小説です。三回読みましたが、巻末の解説は参考になりました。
・この人文書院の鈴木道彦訳は、訳文がとても読みやすかったです。訳注も充実していましたし、巻末解説も参考になりました。
実存主義とは何か
サルトルが自ら実存主義について解説し、 その思想に向けられた批判へ応答した講演や討論をまとめた書籍です。
難解なイメージを持たれがちな実存主義を、 一般読者にも理解しやすい言葉で説明しており入門書として評価されています。
有名なのが、「実存は本質に先立つ」という考え方を、 ペーパーナイフの例を用いた解説です。 用途があらかじめ決まっている道具とは異なり、 人間は生まれた時点で決められた本質を持たず、 自らの選択と行動によって自分自身を形づくっていく存在であると説きます。 サルトル氏の哲学の核心に触れたい人におすすめの一冊です。
(読者の口コミより)・講演を本にしたもので、非常に簡明です。 『嘔吐』を読んで実存主義のさわりがわかったようなわからないような気分になったところを、 この本がよく解説してくれました。
革命か反抗か―カミュ=サルトル論争 (新潮文庫)
20世紀フランスを代表する二人の思想家が繰り広げた歴史的な論争を収録した書籍です。
カミュは、歴史や革命の名のもとに行われる暴力を批判し、 人間の尊厳を守るために不正へ「ノン」と言い続ける姿勢を重視。 一方でサルトルは、社会や歴史の現実と向き合う立場から異なる見解を示し、 両者の思想的な対立は論争へと発展していきます。
本書には、当事者同士が交わした手紙や反論に加え、 論争を分析する評論も収録されており、 それぞれの主張を比較しながら読むことができます。 サルトルとカミュの思想の違いを知りたい人におすすめの一冊です。
(読者の口コミより)・両者ともに好きなのでどちらにも肩入れしたくないけれど、終始冷静に反論を重ねるサルトル(とジャンソン)と頭に血が上り情熱を原動力に噛みつくカミュの姿からはまるで双方の創作した物語と同じ香りがする。
目次
アルベール・カミュあるいは反抗心(フランシス・ジャンソン) 『現代』の編集長への手紙(アルベール・カミュ) アルベール・カミュに答える(ジャン・ポール・サルトル) 遠慮なく言えば…(フランシス・ジャンソン)
存在と無: 現象学的存在論の試み (2) (ちくま学芸文庫 サ 11-3)
サルトルの主著として知られる『存在と無』の第2巻で、 人間が他者とどのような関係を結ぶのかを深く考察した内容が収められています。
中心テーマとなるのは「対他存在」であり、 自分自身だけで完結するのではなく、 他者の存在によって規定される人間のあり方を探究します。 私たちは他者に見られることで自分を意識し、 ときに自由を制限されたように感じることがあると論じています。
また、身体をどのように経験するのかという問題に加え、 愛や欲望、憎悪、無関心、サディズム、 マゾヒズムといった複雑な人間関係についても分析しています。
(読者の口コミより)・第一巻で対自存在と即自存在が峻別され、それぞれの構造が明らかにされた。続く本書第二巻でメインテーマとなるのは対他存在であるが、この対他存在こそサルトル哲学ならではの独創的な視点といえよう。
目次
第3部 対他存在(他者の存在;身体;他者との具体的な諸関係)
戦後フランス思想-サルトル、カミュからバタイユまで (中公新書 2799)
第二次世界大戦後のフランスで大きな影響力を持った思想家たちの活動と思想を解説した書籍です。
中心となるのはサルトルですが、 カミュ、ボーヴォワール、メルロ=ポンティ、 バタイユといった同時代の知識人たちにも焦点を当て、 それぞれの思想がどのように生まれ、互いに影響を与え合ったのかを描いています。
実存主義や不条理、女性の問題、歴史認識といったテーマを扱いながら、 哲学だけでなく文学や政治との関わりも紹介しています。 サルトルを起点に関連する思想家たちや時代背景まで知りたい人におすすめの一冊です。
(読者の口コミより)・限られた紙幅の中で的確にそれぞれの思想を解説している。 ここから次に読み進めていくべき著作なども巻末にブックガイドとして掲載してくれており、 読者への配慮も行き届いた好著である。
目次
序章 ナチ・ドイツから解放されて 第1章 時代を席巻する実存主義―サルトル 第2章 不条理と反抗―カミュ 第3章 「女性」とは何か―ボーヴォワール 第4章 世界と歴史へのまなざし―メルロ=ポンティ 第5章 知られざる領域―バタイユ 第6章 せめぎ合う思想と思想 第7章 歴史の狂騒との対峙 終章 自由で新たな解釈へ
存在と無: 現象学的存在論の試み (1) (ちくま学芸文庫 サ 11-2)
サルトルの哲学を代表する『存在と無』の第1巻で、 人間の意識や自由の本質について徹底的に探究した作品です。
冒頭では「存在とは何か」という根本的な問いから出発し、 物そのものの存在と、人間の意識としての存在を区別しながら議論を進めていきます。 人間は現状を否定したり未来を思い描いたりできるからこそ自由な存在であると考察しています。
内容は決して平易ではありませんが、 実存主義の理論的な土台を築いた重要な著作であり、 後の哲学や思想に大きな影響を与えました。 サルトルの思想を本格的に理解したい人におすすめの一冊です。
(読者の口コミより)・難しい。邦訳がほかにないので、この本を繰り返し読むしかない。 サルトルの専門家も、この『存在と無』を読むには相当の忍耐が必要だろうと言っている
目次
緒論 存在の探求 第1部 無の問題 否定の起源 自己欺瞞 第2部 対自存在 対自の直接的構造 時間性 超越
イマジネール 想像力の現象学的心理学 (講談社学術文庫 2568)
サルトルが若き日に取り組んだ「想像力」をめぐる哲学的研究をまとめた著作です。
人間の意識がどのようにイメージを生み出し、 それを現実と区別して経験しているのかを、具体例を用いながら分析しています。
心の中に描くイメージは単なる映像ではなく、 現実とは異なる「非現実的な対象」としてどのように成立するのか、 また夢や想像が思考や知覚とどのように関係しているのかといった問題が扱われます。 想像力を単なる心理現象ではなく、 人間の意識の本質に関わる問題として捉えている点が特徴。 現代のイメージ論にもつながる視点を提示しています。
(読者の口コミより)・序章から結論まで「記述」「心的生」「想像的生」などの章で構成され、 イメージの本質やその働きについて体系的に考察されています。 映像や創作に関わる方にも、新しい視点を与えてくれる一冊です。
目次
第1部 確実なもの イメージの志向的構造 イメージの仲間 第2部 蓋然的なもの 心的イメージにおけるアナロゴンの本性 第3部 心的生におけるイメージの役割 象徴 象徴的図式と思考の挿絵 イメージと思考 イメージと知覚 第4部 想像的生 非現実的対象 非現実的なものを前にしての諸行為 想像力の病理学 夢 結論 意識と想像力 芸術作品
関連記事